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2026/07/16NEW
令和8年6月 275号(R08.06) 経営者(リーダー)は人の話(意見)をよく聞くべきか!?

令和8年6月 275号(R08.06)

経営者(リーダー)は人の話(意見)をよく聞くべきか!?

 分かりきったことだと思われる方は多い。しかし、中小零細企業では必ずそうとは限らない。時と場合によるが正しい。まず、社内に経営者に適切な意見・助言が出来るスタッフは滅多にいない。技能や経験は経営者が一番であることが多く、後の社員は修行中だったり、身内だったりもする。また、アルバイトやパートに大事は話をするわけにはいかない。社長は常に事業に関する問題意識をもって行動しているのに対し、職員は給料や休みのことが第一で、仕事に関しては要求された事しか考えていないのが大半。もし、社長並みに仕事に関して熱心であったならば、将来のキャリアアップ(転職)か独立を考えているかも知れない。

 社外では、話が聞ける常連客も偏っていて当てにならない。仕入先等も取引額が少なければ、当たり障りのない会話で真剣に相談に乗ってもらえないこともある。最近ではインターネットを利用して市場調査を行う方法もある。AIを活用して営業に役立てる企業も一部にはあるらしい。中小零細企業では取り扱えるデータ自体が限られていて、しかも少ない。AIでは平均的で無難な対策しか示されない。世の中には「ひょうたんから駒」のように偶然思いがけない結果がでることもある。「ぼんくら」が資料調査、状況分析、予測等を行っても当たらない。優れたカンの持ち主が必要である。そして、それは中小零細企業では経営者であることが多い。

 そもそも、中小零細企業の社長は先代からの引継を除いて、大抵自ら事業を起こした人が多い。そのほとんどは、他人に相談し時間をかけて決めたわけではない。やむを得ない事情あるいは絶好のチャンスにかけた場合もあるだろう。基本的に、人の話をじっくり聞くより行動(決断)が早く、やってみた後で修正を行うタイプが多い。だから、人の話を聞くのが得意で無い。

 中小企業の利点は、環境の変化に対応することの速さである。設備等もコンパクトで状況に応じ迅速かつ柔軟に変更出来る。官僚型組織の大手企業であれば、会議や根回しなど意志決定に時間が掛かり過ぎる。だからこそ強みを活かすためには意志決定の時間を短くする必要が生じる。

 中小企業の社長に特化したセミナーを行っていた経営コンサルタントの一倉定氏は、中小企業の社長は「ワンマン経営」が正しいと言ってあった。「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任である」と言う言葉も残している。つまり、会社では社長が知らないうちに起こったことも全て社長の責任だということ。社長は全責任を負うつもりで経営を行うべし。その覚悟で経営に関する決断を行う。であれば、無責任(いい加減という意味では無く責任がない)社員の意見に従う必要は無い。

 パナソニックの創業者である松下幸之助氏は、「衆知経営」を説いてあった。経営で衆知が集まるためには「素直な心」になることが必要で、それに関した書物もある。素直な心とは、私利私欲の無い偏りの無い心のことで、それが出来ると、ものごとの決断の誤りが少なくなるそうです。思うに松下氏はいつも出来る訳でなく大変難しいから意識して素直な心になろうと努力されていたのだろう。昔、日経ビジネスのインタビュー記事で、松下氏はワンマン経営を容認する発言をしてあって少々驚いた記憶がある。衆知経営で他人の意見を熱心聞くのは、話をしてくれた人を心地よくする(ファン化、エージェント化)であり、有用な情報が多く集まってくるための仕組みである。そして集まった情報の中から、冷静な心で正しい選択と決断を行う。本当に重要なことは最終責任者がひとりで決める。他人の意見等は数ある情報の1つで、別に従う必要は無いということだろう。

 商品開発でアンケート等の結果に基づいて作った新製品が売れないことがある。それより、製作者が自分が使いたい商品を世に出したらベストセラーと言った話もある。だから人の意見はあくまでも参考の1つしかない。決めるのは経営者(リーダー)であるべきです。責任から逃げてはならない。