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2026/02/10NEW
令和8年1月 270号(R08.01) 資産家の相続対策の幅が狭まりつつあります!

令和8年1月 270号(R08.01)

資産家の相続対策の幅が狭まりつつあります!

 年明けに銀行の方から税制改正について質問・意見を求められました。従来よく使われていた、貸付用不動産を取得し、財産の評価を下げて相続税を減らす対策が使えなくなるとのことです。

毎年、12月に税制改正大綱が出されます。これは、直接の法律ではありませんが、その後の税制改正で、ほとんど、その趣旨に基づき改正されたり、施行のための決まり(通達)が作られたりします。

ざっと目お通し、大きな改正はなかったように認識してしまい見落としていました。

 改正の概要は、「被相続人(亡くなった人)が課税時期(通常は相続開始日・・死亡した日)前5年以内に、対価を伴う取引により取得または新築した一定の貸付用不動産は、課税時期における通常の取引価格に相当する金額によって評価する。」というものです。その通常の取引価格に相当する金額とは、地価の変動等を考慮して計算した価額の100分の80に相当する金額で評価できるとあります。地価が大きく動いていなければ、購入価格から2割の評価減となるでしょう。大綱には、その「改正は令和9年1月1日以後に相続等により取得する財産の評価に適用する。」とあります。もしも、相続が令和8年中に発生すれば従来通りですが、年を越すと、それまでに対策してきた節税策は効果が減るということです。5年以上長生きしてくださいとなります(笑)。ただし、5年前から所有する土地に建物を新築した場合には適用はないとのこと。不動産を使った節税策は大幅に見直しをする必要が生じます。

 ネットやユーチューブで確認すると、資産税に強い税理士や事務所から色々情報を得ることが出来ますが、まだ詳細が決まってないので様子見のようです。ところで大綱のどこに記載があるのか見つけるは大変です。令和7年12月19日の自民・維新の改正大綱PDFでは、82ページの ニ資産課税3その他(国税)(4)相続税等の財産評価の適正化 で約1ページあるのみです。令和7年12月26日閣議決定PDFでは 52ページに同じものが掲載されています。うっかりすると見落とすくらいです。

 税理士の立場では、不動産を用いた過度の節税策は規制があっても仕方が無いと考えます。少し前にあったタワーマンションを使った節税策も数年前に規制がかかりました。(評価方法が変わりました。)昨年だったと記憶してますが、相続贈与等で通常用いる財産評価規定どおり評価して申告書を提出した納税者が国税当局より財産の評価額が時価より著しく低いということで否認されて、裁判で争った事例が有りました。財産の評価は時価で行うとあります。しかし、実務上はその評価が大変難しい。だから不動産については、国税庁が定める評価通達を用いることになる。もしも、その評価額が時価よりも高いと思われる場合は、不動産鑑定士などに鑑定してもらい、それが妥当ならば認められます。事例はその逆で、時価が著しく高い場合は、実際の時価相当額で評価せよというものでした。一般に不動産の相続税評価額は時価より低い。その理由は、自己の居住用や事業用の土地建物は生活の基盤であるから手放したくなく換金も難しいため、低い評価が容認されていたと解釈されます。しかしながら、不動産が高騰しつつある(特に東京の都心部)では乖離が大きく成り、不公平感が強くなってきているようです。そうした中、財産の多いものが節税を目的として不動産投資を行うのは問題があると国税が考えたのでしょう。今後も目に余るような節税策には規制が入る可能性があります。税制改正のリスクを十分に考えましょう。一般に日本の税制は後出しジャンケンの傾向があります。効果が前に遡るものも多いようです。従って、税理士の立場からは相続対策はオーソドックスなもので、早めに長期(10~20年)で考え、準備を行うのがよろしいかと思います。