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2025/11/14
令和7年10月 267号(R07.10) 平時と緊急時の経営者のリーダーシップについて

令和7年10月 267号(R07.10)

平時と緊急時の経営者のリーダーシップについて

 経営のトップが決断しないといけない緊急かつ重要な案件は、実はそれ程多いものでは無い。他の幹部が代わりに行っても問題ないことが多いだろう。経営が順調なときは部下や現場に任せておけば良い。大して重要でない細かなことに指示や意見を出すと、職員は混乱したり、自主的に考え工夫する意欲を減らしたりもする。気づいた良いところをやんわりと褒めてあげれば良い。特に気になることは担当の上司を呼んで確認しておけば良い。組織の少し離れた上位者から注意や指摘されるのはショックが大きいからだ。こちらが意識なく、単なる老婆心からのアドバイスであっても、相手は悪い印象を与えてしまったと心配するかもしれない。

 経営者は、営業あるいは物作りが得意な人が多い。家業等の特別な理由で経営者になった人もいるが、大抵はどちらかが得意だったから独立したと考えられる。そうでないなら、失業しても同業他社に再就職したり、何らかの経験が活かせる異業種に就職してりするのが普通だろう。そうすると、経営者自身が、暇なときや、現場が逼迫している時に加勢する場合もあるだろう。人によっては、トップや管理職の仕事より、昔取った杵柄で楽しいかもしれない。それはそれで悪くない。もっとも零細企業の多くは、社長等がトップ営業マンや技術責任者を兼任していることも多い。問題は、社内でトラブル等が発生した場合の対応である。経営者が現場に集中していると緊急事態の情報の伝達が遅れやすくなる。また、こだわりを持った職人タイプならば、取り合えずは担当者に任せておき、きりの良いところで駆けつけることも予想される。ところで、トラブルのほとんどは問題無くマニュアル通りで処理できるハズだが、希に大事も発生する。その事態で経営のトップが速やかに、重要な決断や指示が出せるかどうかがカギとなる。初動の対応がリスクを減らすことに繋がるからである。ときどき自然災害が発生した場合、行政の長と接待ゴルフや会合飲食等で連絡が取れなかったことがマスコミで問題になることがある。これらも同様の理由から追求されるのです。

 日本の社会は、「言霊」文化の影響かどうか知りませんが、非常時の備えが不十分でした。自然災害が増えた現在ではかなり改善されたと思います。しかしながら、企業経営においてのトラブルについは不十分で大手でも不祥事や対応のまずさが問題となります。ましてや、中小零細企業では「問題が発生してから考えよう」がかなり多いようです。これでは想定外のことが発生したら右往左往するのは目に見えています。そのなかでもトップは冷静に決断しなければならない。過去に経験してことも無く、適切な専門家に相談することも出来ないなかでも決めなければなりません。そして、結果に対しては責任を負わなければなりません。天変地異によるトラブルを除いて、ほとんどのトラブルは想定されるのです。経営であれば、解散や倒産も想定される。想定されるのに、その対応を誤れば損失等が大きくなり、それが責任の対象となるはずです。脳天気で、準備努力不足で、想定外だから責任を負わないで良いのは不合理です。「しかたない、運が悪かった」では済まないハズです。

 アメリカの戦争映画などでありますが、小規模な部隊が苦戦している時、応援の特殊部隊が到着しその指揮のもと、戦況を立て直します。任務が完了すれば、小規模部隊の長に指揮権を返し、特殊部隊は去って行きます。本来、リーダーシップは緊急時・非常時に組織がスムーズに行動できるように必要なものと思われます。平時と緊急時でリーダーシップが変わらないのがおかしいのです。