
お知らせ
2022年末のChatGPTの登場により、生成AIが注目されるように成りました。時々テレビのニュース番組の中で、先進的なベンチャー企業や大手企業などでの活用事例が紹介されたりします。しかしながら、地方の中小零細企業で、仕事に活用してるなどの話は聞こえてきません。税理士である私も、新しい技術に興味が有るものの、日常業務に忙しく勉強する機会はありませんでした。
こうしたなか、最近、会計事務所向けの生成AI活用のセミナーが多数開催されています。
その理由は、(1)税理士事務所等で実際に生成AIを活用して、生産性が向上する事例が多くあること。(2)会計ソフトメーカーが機能向上のために、独自のAI技術を開発するより、GoogleやMicrosoftやOpenAI社などの汎用の生成AIを活用してもらう方が今のところ、安く上がること。(3)会計ソフトメーカーが主催することにより、生成AIとデータのやり取りの相性がよいことをアピールするため。(4)他の関連するセミナーや商品の販売のための集客として など様々です。いくつかに参加して分かったことは、例えば、手書きの現金出納帳・紙の預金通帳のコピー・領収書からの必要情報の読み取りなど生成AIを活用すれば、会計ソフトで利用出来るデータ形式で出力できること。それも早くかつ安く処理することが可能だということでした。他にも事務系の業務で活用可能なものは、会議の録音から議事録を作成させることなどです。しかも長い議事録を要約させることができます。生成AIは文書の要約が得意です。さらに事業計画などの作成時に、対象地域の情報など多くの時間をかけずに引っ張ってくることが可能となります。また、要求すれば絵や写真等も作ってくれます。
半年前使ってみたけど、あまり役に立たなかったと言う方。生成AIの機能は刻々改良されています。従って、使い勝手は良くなっているかも知れません。ユーザーが多い分データ等の学習も進んで行きます。同じ質問をしても回答が同じに成るとは限りません。ところで生成AIで適切な結果が得られなかった場合は指示(プロンプトと言う)が適切でないことが考えられます。曖昧な指示(プロンプト)では、AIも正しい判断が出来ないからです。適切なプロンプトを作成することで、出力精度が大幅に向上します。有名なものに「深津式プロンプト」があります。note㈱の深津貴之氏が提唱したものです。
(1)役割の定義:AIに特定の専門家やキャラクターの立場で処理してもらいます。
(2)命令 :やってほしいことを具体的かつ明確に指示します。
(3)制約 :AIが守るべきルールや条件を設定します。そうすると出力のブレが減らせます。
(4)入力 :処理して欲しい情報やデータを提示します。
(5)出力 :どのような形式で回答して欲しいかを具体的な例を挙げて示します。
これらを意識すると生成AIの処理の負担も少なく早く適切なものが出力できます。
しかしながら、1回で完璧のものは不可能です。不具合があれば指示(プロンプト)を調整します。
実際、数時間かけて完成型に持って行きます。(磨き上げていきます)
出来上がったプロンプトには処理等の名前を付けテキスト形式で保存します。
使用する時に必要なプロンプトを読み込めば、いつでも同じ処理が可能となります。このようにして定型業務で活用します。作成したプロンプトには価値があります。しかし、特別な専門的な技能や知識は必要ありません。使っていくうちに上手になるようです。またAI自体も使いやすく進化するようです。
生成AIは特別高額なもので無いから業務に活用するならば、セキュリティや機能の点からも有料版が奨励されます。会社で行う仕事の中で生成AIが得意とするものは、AIに外注(分担)させることで効率アップに繋がるものです。人手不足と人件費高騰のなか有効な手段です。
令和7年8月 265号(R07.08)
生成AIを仕事に使ってみよう!