
お知らせ
消費税は逆進的な性質があると言われる。低所得者ほど収入に占める消費の割合が高くなるので、所得に対する負担が多くなるからである。これに対し高所得者は、貯蓄や投資に回す割合も多いので、金額からすると確かに消費は多いが、収入全体からみると消費税はそれ程負担していない。貯蓄や投資のほとんどは消費税の対象外だからです。さらに、低所得者や生活保護者には所得税の負担は僅かだったり、無かったりしますが、そのような人であっても衣食住に必要な用品の多くに消費税が存在します。だから消費税を負担しているのです。このように国民全員に浅く広く課税しているのです。
ところで、消費税は誰が負担しているでしょうか? 一般に消費税は中間段階では転嫁され、最終消費者が負担していると説明されます。形式的にはそのようになっています(もっとも、簡易課税選択業者もいるのでアバウトではありますが)。しかし実際は、事業者や消費者との力関係で、実質の負担者が決まっていくものと思われます。消費税を抜きにしても取引で大手の元請けやメーカー等が利益のおいしいところを持って行き、残りを弱小の下請けや納入業者が分け合うと言う構図が浮かびます。消費税のみが取引に中立であるとは考えられません。問題に上がらない範囲で負担を力関係の弱い処へ押しつけている可能性も有るでしょう。(例えば消費税込みでいくらでお願い出来れば注文するなど)
事業が赤字でも消費税の負担は免れません。企業の半分近くは赤字と言われ、法人税等の負担はないようです。しかしながら、消費税の還付など滅多にありません。大きな設備投資が有ったか、大赤字の場合だけです。赤字であっても消費税の額がかなりとなる場合もあります。企業は預かっているはずの消費税を運転資金として使い込んでいる場合も少なく無いようです。全国的に消費税の滞納事業者はかなりいます。前年の消費税額を基準に1回・3回・11回の中間納付がありますが、これは48万円超からです。給与等の源泉所得税が原則毎月(支払いの翌月)納付であるから、3か月ごとの予定納付にでもなれば(計算は簡易課税の方法を用いる)、滞納者はかなり減ると思われるし、年末調整のように年度末で過不足を調整するのが良いと思われますが、消費税の特殊性からして変更は難しいでしょう。
そもそも赤字企業でも消費税納付が発生する要因に、給与等が不課税であるためと言われます。給与所得者は雇用関係にあるため事業者ではないから消費税の課税要件から外れるためと説明されるようです。しかし、実質的に労務の外注と変わらない場合も多いです。もし、給料が課税仕入となるとして、そのほとんどが1000万円以下の免税事業者となるため、それを認めると企業側の消費税の納税額が減り、税収全体が少なくなるためではないかと言う専門家もいます。私もその通りだと思います。
輸出免税も問題があると考えられます。海外に輸出が多い法人は、国内での課税仕入で負担した消費税を申告書で計算し、還付してもらえます。トヨタなど大手の還付額は桁違いに大きいです。ところで、よくよく考えてみると、数多くの部品メーカーなど下請けが負担した課税仕入の消費税額は最終の輸出業者にだけしか返ってきません。本来は、負担相応額で還付されるべきとも考えられます。また、それは計算技術上無理であるならば、還付しなければ良いと思います。国内の売上取引分は納税で、海外相当額の今までの還付消費税はゼロで良いハズです。世の中には教育や医療関係で課税売上が少なく(大部分が非課税売上のため)課税仕入分の消費税が転嫁出来ていない事業者もあります。だから問題無いはずです。そうは言っても輸出を行う中小企業もあり、そのような事業者をどうするのかと問われれば、一定額、例えば10億円とか50億円までは今まで通りで、それ以上の取引は還付に制限を加えれば良いと思います。現状での大手輸出企業への消費税還付金は、輸出助成金の性質があると言われてもしかたありません。
令和7年7月 264号(R07.07)
消費税の問題点について考えてみよう!