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2025/07/11
令和7年6月 263号(R07.05) 結果にしか関心のない人と結果に至る原因を考える人

令和7年6月 263号(R07.06)

結果にしか関心のない人と結果に至る原因を考える人

 プロは一定の結果(成果)を出さなければならないと考える人がいる。事実、ライバルが大勢いる中、平均以下の成績が続けば、その職場から退場となるかも知れない。しかし、結果が全てだからと言って、不正な手段方法や卑怯なやり方で結果を出しても(あるいは数値上達成したように操作したとしても)、それが暴露すれば社会的な評価を失うことになる。最近は大手企業でも組織的な不正や甘い管理が問題となる場合も多いようです。過去の実績等を過信し、日々の努力を怠り、手間の掛かるところを手抜きするなど続けていると、やがてそれが日常となる。そして、問題が発生した時には大変な状況だったりする。最終結果が良ければ全て良しでは無い。中間過程の管理等こそ大切にするべきだろう。 

 伝統的なスポーツなどで上位者が奇をてらう方法で下位者に勝利しても評価はよろしくない。むしろ非難されることがある。同様に老舗がブランドイメージを損なう営業や販売活動を行うこともよろしくない。場合によっては敢えて、売らない(勧めない)ことも、長期的な視点で売手と買手の双方にメリットがあるだろう。巧みなテクニックによる押し込み販売等は強い信頼を築くことが出来ない。

 ところで、どの様な商品等もいつも同じように売れるわけではない。結果(成果)にしか関心のない人の中には、その原因について深く考えない人が一定数いる。自分は決められた通りの行動をとっているのだから、原因はお客様や外部環境によるもので、どうしようもないと考えたりする。景気が悪いから売れないとか、ライバルより商品が悪いから売れないとか。あるいは広告宣伝予算が低いから、あるいは交際費が限られているからなどと言うこともある。自分のあり方を変えないから、結果を動かすすことは出来ない。主体的でないから受け身で結果に振り回される。作業的な仕事となる。

 なぜお客様が興味関心を示して買ってくれるのか、売り方は適切であったかなどなど、成果(購入・決定)に至るまでのプロセスを細かく分析し、仮説を立て、行動を変え、そして、その検証を行えば、成果に至る要因・因果関係や優先順位等が少しずつ見えてくる。そうなると、やってみないと分からない状態から、おそらくこうなるだろうと予測が立つようになる。また、注意深く環境やお客様を観察することにより、通常の季節変動等の循環現象なのか、特殊な原因による異常な変動などであるかの違いが見えやすくなり、ライバルより先手を打つことができ、チャンスをつかむ、あるいは損失を減らすことも可能となるはずだ。何より良いことは、自分の行動の変化で成果を作り出すことが可能とわかり、仕事が受け身でなく、主体的になり、面白みが増し、成果の達成感が高まることと思われる。

 だから、全くの新人や短期のパート・アルバイトを除いては、現場にはある程度の裁量を与え、自ら仮説と検証を行なわせ、創意工夫を評価支援する組織であることが望ましい。

「好きこそ物の上手なれ」と言われるが、工夫し自分で成果が作れることは本来、楽しいものです。

 ただし、どの職場でも、自分で考えたりすることが面倒で苦手だったり、報酬に見合う仕事しかしたくないと考える人もいるので、そのような人には、マニュアルと直属の上司からの適切な指示等で働いてもらうこともあるだろう。